1) どうして動物は『食事』をするのでしょうか?
その理由はたったの 3つしかありません。
① エネルギー源
体を動かすエネルギー源として利用されます。自動車のガソリンに例えられることもありますよね。また哺乳類や鳥類の恒温動物は熱をつくって体温を維持しなければなりません。『食事』は体内で熱を作るためにも必要となります。
② 体を作る
筋肉を作ることや皮膚や毛を作るにも『食事』が必要です。血液も『食事』から作られます。血液を作るにも 『食事』のバランスが悪いと貧血になったりしますよ。 体を作るにはバランスの良い『食事』が欠かせないのです。
③ 体調を整える
私たちの体の中では、目には見えないけどいろんな仕組みが働いています。汗をかいて体の温度を調整したり、意識もしないのに心臓が動いたりすることなど、たくさんあると思います。 生きていくのに必要な仕組みである生理機能の調節にも 『食事』 が関与しているということなのです。
2)『食事』の分類はたったの 5つ。
特徴ごとに分けられたグループのことを栄養素と言います。5 つのグループのことを五大栄養素といいます。この 5 つのグループはエネルギー源になる 3 チームとエネルギー源にならない 2 チームに分けられます。
~エネルギー源になるチーム~
(五大栄養素の中でもこのチームだけのことを三大栄養素と言います。 )
① 炭水化物(糖質)
『食事』をしたときに最も優先してエネルギー源として利用されます。しかし余った炭水化物は予備エネルギーとして体内に蓄えられるのです。この体内に蓄えられた予備エネルギーとは皮下脂肪のことですが、 ダイエットのために皮下脂肪を燃焼するための運動をしても、炭水化物 (スポーツドンリンクやジュースなど)を摂取すると皮下脂肪の燃焼がストップしてしまうので注意をしなくてはなりません。ダイエットのための運動にならなくなります!
② 脂肪(脂質)
最もエネルギー量が高い栄養素です。いつも走り回っている成長期や幼齢期の動物、 活動犬(人ではスポーツ選手) などは高いエネルギー量が必要です。 筋肉質で肉食性のネコ科動物は狩りをするために運動量が多くなるため、 効率的なエネルギー源を得るために脂肪は大切な栄養素となっています。雑食性動物や草食性動物よりもエネルギー量を多く得るために、脂肪の含有量の多い『食事』が必要になるわけです。 それから脂肪は脳や神経の細胞膜つくりにも関与していますから、成長期には必須の栄養素といえるでしょう。また脂肪には“飽和脂肪酸”と酸素や他の物質と結合しやすい“不飽和脂肪酸”とに分類されますが、重要な栄養素として有名な EPAや DHAは全て不飽和脂肪酸であることもチェックポイントです。 この不飽和脂肪酸には犬や猫が体内で作れない必須脂肪酸と言われるものがありますが、この必須脂肪酸を全て摂取できるのがマグロやサケなどの魚類なのです。
③ タンパク質
炭水化物も脂肪も吸収できないときや、体にも皮下脂肪が無いようなときにエネルギー源となるのがタンパク質と言っても良いでしょう。たんぱく質はアミノ酸から構成されていて、 筋肉や皮膚などの材料にもなり、 酵素として体調を整える働きにも大きく関与しています。 この体を作ることや体調を整えるにもバランスの良いアミノ酸の摂取がポイントです。 そしてアミノ酸には体内で作れるものと作れないものがあります。 体内で作れずに『食事』から必ず摂取しなければならないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。必須アミノ酸は人では 9 種類、犬では 10 種類、猫では 11 種類(新説ではタウリンはアミノ酸に分類せずに必須栄養素としています。)あります。これら犬猫の必須アミノ酸を含む原材料となるのが、必須脂肪酸と同様に魚類なのです。
~エネルギー源にならないチーム~
④ ビタミン
ビタミンは体調を整えるのに重要な栄養素で、 理機能の調整をコントロールする働きをしています。体の酸化を防ぐアンチエイジングで有名なのがビタミンは、A・C・Eのエースです。骨を作ることをコントロールしているのはビタミン D です。そして酵素の働きを助ける補酵素となるのがビタミン B の仲間たち(ビタミン B 群と言います。 )です。アミノ酸である酵素はビタミン B群がないと上手に働けないのですが、このアミノ酸やビタミン B 群は『食事』からだけでなく、腸内の善玉菌によっても作られています。ですから腸内環境を快適に保つことが体調を整えることに効果的であることの要因の 1つと言われているのです。
⑤ ミネラル
ミネラルとは元素のことです。カルシウム、リンは歯や骨の原料となっていることは有名ですね。カルシウムは、神経伝達物質そのものではありませんが、 神経伝達物質を放出する際のトリガーとして必須の役割を果たします。また、筋肉の収縮、ホルモン分泌、細胞シグナル伝達など、多岐にわたる重要な働きを担っているのです。 実はこのカルシウムの摂取を促す役割を担っているのがビタミン Dになります。カルシウムを充分に摂取していても“骨粗鬆症”になるのは、このビタミン Dが不足していることが少なくないようです。 また、 微量に必要なコバルトはビタミンB12 といわれるコバラミンの生成に不可欠なミネラルで、コバラミンは血液や DNAの生成に欠かせません。その他、微量に必須なものまで含めるとマグネシウム、ナトリウム、カリウム、硫黄、銅、鉄、亜鉛、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデン、等など多くのミネラルが私たち動物には必要なのです。
栄養素の種類とその働き
